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還暦なったら遺言作ろう

 

60歳は早すぎる?

人生100年時代の今だから、60歳になったら遺言を作ることをお勧めします。
「60歳は、いくらなんでも、早すぎるのではないか」と思われるかもしれません。

元気なうちに

しかし、遺言を作るには、かなりの労力を伴います。自分の財産を一覧表にまとめて、その評価や権利関係を整理するのは、歳をとってからでは大変です。まだまだ元気で、仕事もできる60代であれば、難なくこなせるでしょう。

収支の安定

40代50代では、これから、どれだけの収入を得るのか、予測がつきません。出世するのか、商売が成功するのか、景気がどうなるのか、わからないのです。支出も目途が立ちません。子育て、教育費、住宅ローンなど、これから、どれだけのお金が必要になるのか、予測するのは困難です。
60代になれば、すでに子供は独立し(あるいはお金がかからなくなっており)、住宅ローンも支払いを終えており、今後、得ることができる収入(年金を含め)も予測できます。親からの相続や退職金の受領により、まとまった資産を保有することになるのも主に60代です。

どう使いどう残すか

ですから、60代の方は、安定した収支、具体的な数字を前提に、財産について検討することができるのです。今後、その財産を、どのように使い、どのように運用し、どのように引き継ぐのかを考えます。
より具体的には、①今後の生活費をどのように捻出し、②老後の備えをどのように運用し、そして、③子供や孫にどのように自分の財産を引き継いでもらうのか(相続対策)を考えるのです。
①や②については、還暦を迎えると、年金事務所やフィナンシャルプランナー、あるいは信託銀行などを訪れ、相談する方が多いと思います。
ところが、③相続対策については、「まだまだ早い」と考えがちです。
しかし、早くからはじめるに越したことはないのです。

相続対策は早くから

相続対策には、3つの側面があります。第1は、相続争いをしないように準備すること、第2は、相続税の節税対策、第3は、相続人が相続税を支払うのに困らないようにすることです。
上記第2の相続税の節税対策は、時間を掛けるほど、充実したものになります。子供や孫への長期にわたっての生前贈与はその代表でしょう。20年をかけて対策を続ければ、どれだけの成果になるでしょう。
節税対策は、誰に何を相続させるか、その場合、誰がいくら相続税を支払うことになるかを前提に検討します。言い換えると、上記の3つの側面は、別々に検討するのではなく、一体として検討する必要があるのです。
その意味で相続対策はできるだけ早くから取り掛かるべきであり、還暦からはじめるのが得策であるといえます。

遺言作成の勧め

相続争いをしないようにする最善の方法は、適切な内容の遺言を作成することです。そのためには、弁護士や税理士などの専門家に相談して方向性を検討するのが安心です。誰に何を相続させるか、どうすれば相続税を節約できるか、相続人が相続税を支払うための原資をどのように用意するのかを、具体的に検討して、自分にとり最適化した遺言を作成するのです。

60代は遺言作成の適齢期

60代で遺言を作成するならば、最適な相続対策を長い時間を掛けて実施できます。60代は遺言作成の適齢期といえるでしょう。
子供や孫のためだけではありません。遺言作成により、自らの財産を正確に把握し、相続対策を最適化できていれば、安心して資産運用を行うことができ、また、計画的に、旅行や趣味にお金を使うこともできます。
60代に遺言を作成することは、充実した老後を楽しむための基礎づくりといえるのです。還暦になったら、そろそろ遺言作成にとりかかりましょう。

商標的使用論の昔と今(大阪弁護士会知的財産法実務研究会)
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